緩和ケアマニュアル
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 6.高齢者の緩和ケア 定義は曖昧であり,具体的な定義の規定は行われていない.1)緩和ケアの実際・身体的ケア 高齢者の身体的ケアには,身体的苦痛症状のコントロールと日常生活援助が挙げられる.身体的苦痛症状には食欲不振・痛み・呼吸困難などがあるが,いずれも一般的な原疾患の治療ならびに対症療法で症状緩和が可能である.また,日常生活援助については,食事介助・体位変換など一般的な介護技術で対応が必要となる.・精神・心理的ケア 高齢者の精神・心理的ケアには,認知症とそれに伴う周辺症状,うつの緩和などがある.認知症の周辺症状は環境の変化により発症・悪化するため,家族や周囲の人に認知症ケアについて教育し,高齢者本人が過ごしやすい環境を保持することは精神・心理的ケアの一環であると言える.また,うつについては,早期発見・早期治療(介入)が重要である.・社会連携 病院外つまり介護の現場での看取りの必要性が増している.介護の現場では,介護スタッフがケアの主要な提供者となることが多いが,充分な緩和ケア教育が99⑴ 高齢者の緩和ケアの定義とは

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