緩和ケアマニュアル
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 5.がん関連血栓症 がんに罹患していると,血栓症のリスクが高いことが報告され,がん関連血栓症(Cancer-AssociatedThrombosis:CAT)と称されている.この章では肺血栓塞栓症について述べる.評価1)症状(呼吸困難,胸痛,頻呼吸など)2)循環血行動態(低血圧あるいはショック)3)右心不全(右室拡張[CT,エコー],BNP高値)4)心筋損傷(トロポニン陽性)・原因不明の呼吸・循環不全時にまず疑い,検査を行う.・Dダイマー検査陰性であれば否定的であるが,Dダイマーは,がんの存在によっても高値となることに留意する.・造影CT検査で確定診断を行うが,造影剤の投与が難しい場合はエコー検査や肺血流シンチを用いる.・症状がなく腫瘍の評価CT検査で発見されることもある.治療 診断後は重症度を評価し,すみやかに治療を開始する.・呼吸管理 SpO290%以上が得られるまで十分な酸素投      与を行う.STEP1:呼吸・循環管理STEP2:薬物療法STEP3:専門家への相談97

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