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トモセラピー・ラディザクトの御紹介
現在の日本の放射線治療は，CTやMRI，FDG-PET/CTなどの三次元画像をもとにして，病変の形状に合わせて照射する三次元原体放射線治療が標準的となっていますが，放射線をあてすぎてはいけない危険臓器が病変と近接している場合には十分な線量を照射できない場合があります．強度変調放射線治療（IMRT）は，放射線を照射する形や線量を変化させながら照射することにより，危険臓器への照射線量を最小限に抑えつつ，病変に集中的に照射することができる治療法です．
当院では2018年にIMRTの専用器であるトモセラピーの新世代型・ラディザクトを導入しました．トモセラピーの特徴は，患者さんの寝台が移動しながら，小型化された照射器がCTのように体の周囲を360度回転しながら照射するため，照射角度や線量の選択の自由度が大きく連続的に広範囲に照射できることです．また治療器で照合画像を撮影することができ，計画画像との重ね合わせによりミリ単位の精度で位置あわせを行うことができます．さらにラディザクトでは照射速度の向上による治療時間の短縮や寝台の誤差の補正が可能となっており，より効率的に細やかな治療をすることができます．
IMRTは前立腺がんや頭頸部がん，脳腫瘍を対象として普及し，現在では治療の対象は”限局性の悪性腫瘍”に拡大されています．当院でも治療例が最も多いのは前立腺がんですが，胸部や骨盤部の腫瘍，小数個の転移性脳腫瘍やリンパ節転移，全中枢神経照射や全身照射などにも適応できるようになりました．IMRTの実施においては十分な放射線治療の経験を持つ放射線治療医が複数勤務していることが義務づけられており，富山県内ではIMRTが実施できる治療施設は限られています．今後も経験を重ねた上でより多くの患者さんに高精度な放射線治療を届けられるよう適応拡大に取り組んでいきたいと考えています．
