富山県内初 手術支援ロボットda Vinciによる直腸がん切除手術を実施しました
富山大学附属病院では、平成30年6月14日に、直腸がん患者(70代男性)に対し、手術支援ロボットda
Vinci Xiサージカルシステム(以下、「ダ・ヴィンチ」)による直腸がんの切除手術を行いました。富山県内では初の実施となります。
ダ・ヴィンチは、患者さんの体に開けた小さな穴を通じてロボットアームを体内に挿入し手術することにより、従来の開腹手術と比べ低侵襲で出血が少なく、患者さんの負担の少ない手術を行うことができます。またロボット技術により、カメラによって映し出される高解像度の3D映像を見ながら、手ぶれの影響を受けず精密かつ自在に曲がる動作するロボットアームで手術を行うことにより、より正確で安全な手術を行うことが可能です。
大腸の中でも直腸は骨盤内の深く狭い部位に位置しており、直腸切除は手術難易度が高い手術です。従いまして直腸がんの手術をダ・ヴィンチで行うことには、大きく以下のようなメリットがあります。
- 直腸がんは、肛門に近くなればなるほど手術により人工肛門が必要となる可能性が高くなる病気です。狭い骨盤内ではロボットの特性を十分発揮でき、骨盤奥深くまで操作ができることからより多くの患者さんに肛門温存が可能となり得ます。
- アームによる精緻な切除作業により、がんの取り残しや、それによる再発のリスクを下げることが期待できます。
- 直腸がんの手術は、骨盤の深い部分へのアプローチが必要になり、泌尿生殖器や自律神経に囲まれた場所になるため、周囲の神経機能温存が難しい手術です。しかし、ダ・ヴィンチでは、カメラと鉗子のついたアームを挿入して精緻な操作が可能なため、必要最小限の侵襲で手術を行うことにより、周辺の神経機能温存を図りやすくなります。
また、これまでダ・ヴィンチによる手術のうち保険が適用されるのは、前立腺がん及び腎臓がんのみでしたが、平成30年4月の診療報酬改定により、新たに直腸がんの手術を含む12件の手術が保険適用の対象となりました。富山大学附属病院では、今回の直腸がん手術に続き、食道がん、胃がんでもダ・ヴィンチによる手術を行う準備を進めています。