第4回 市民公開講座「目・耳・鼻・口の病気と治療」を
開催しました

あごの手術による咬み合わせの回復

歯科口腔外科 冨原 圭

  顎・口腔機能の外科的再建治療に関して、下顎骨に発生した悪性腫瘍を例に解説しました。広範囲に切除された顎骨に対して、従来は、金属製のプレートを用いた再建手術や義歯による咬合の回復が主流でしたが、現在では、肩甲骨などの自家骨を移植し、さらに歯科インプラント治療を応用することによって、欠損した顎骨や咬合を回復させることが可能となっています。また、顎骨の高度変形による著しい咬合異常である「顎変形症」の病態と治療法について、歯列矯正治療との連携による外科的矯正治療の実際を解説しました。普段あまり聞きなれない疾患や病態に関する内容ではありましたが、多くの参加者に口腔外科手術の最新情報をお伝えする良い機会となりました。
 

健康長寿はお口から

歯科口腔外科 藤原久美子

  近年テレビなどでは、“口” と“健康”の関連が数多く報道されています。例えば“残っている歯の数(歯数)が多い人ほど長生きする”、つまり、“高齢者の歯数と平均寿命” は強い相関があります。しかし“歯数とがん”、“歯数と肺炎死亡”には関連がありません。また“むし歯が多いと早死にする”、“歯周病になると寿命が縮む” といったことも、“関連なし” と報告されています。一方、強い関連があるのが、“糖尿病と歯周病”、“リウマチと歯周病”。このような病気がある方は、歯周病が重症となるリスクが高く、歯周病菌を減らすための十分な口腔ケアを行っていただく必要があります。また死亡原因上位の肺炎のなかには、口からの細菌によって感染してしまうものも。。。。“口腔清掃の習慣がある人ほど長寿である” との論文は、まさにお口と全身の関係を示しているといえます。細菌を減らす歯磨きを実践して、健康をお口から作っていきましょう。

ここまで進歩した目の手術

眼科 林 篤志

  この20年の眼科の手術の進歩は著しいものがあります。まず、一番多く行われている白内障手術では、目の中の混濁した水晶体を取り出して人工レンズを入れる手術を行います。目の切開の大きさは以前は11mmでしたが、現在は超音波を使って水晶体を細かく砕いて吸い取る手術なので、通常2.4mmで手術が可能になっています。これからはレーザー光を使って水晶体を破砕し、さらに高精度な手術ができる時代がやってきます。
  また、眼内にいれる人工レンズも紫外線カットに加え、黄色が入り、コントラストのよい見え方になっています。さらに乱視の矯正もできます。先進医療では多焦点眼内レンズによる白内障手術も行われています。
  もう一つの眼科のメインとなる手術には、硝子体手術があります。網膜剥離や黄斑円孔などの手術です。現在は、太さがわずか0.5mmの器具で安全に手術できるようになっており、手術成績も格段に向上しました。当院では最先端の手術を安心して受けていただけるようにしています。

ドライアイ治療最前線 ~その目薬、効いていますか?~

眼科 宮腰 晃央

  ドライアイ治療の目薬は、これまでヒアルロン酸が含まれた人工涙液しかありませんでした。しかし、ドライアイには様々なタイプがあり、この目薬だけをさしていても、症状が改善しないばかりか、悪くなることもありえます。
  そもそも目の表面を快適な状態に保つためには、①涙が十分に作られること、②作られた涙が瞬きの際に黒目の表面にしっかりと塗りつけられること、が重要になります。
  ①が障害される「涙が作られないドライアイ」に対しては、目薬で涙を補充するだけでなく、涙の出口を堰き止める処置( 涙点プラグ挿入) が必要なこともあります。②が障害される「涙が作られるのにドライアイ」の患者さんは黒目の側に異常があり、うまく涙が塗りつけられません。涙がうまく塗りつけられるように黒目を修復する目薬が最近出てきており、その効果が確認されています。
  自分のドライアイがどのタイプに当てはまるのかをしっかり把握し、それに合った治療法を選択し、症状とうまく付き合っていく方法を見つけていくことが重要です。

めまい-新しい治療と予防-

耳鼻咽喉科 將積 日出夫

  めまいは、頭の病気、耳の病気、心臓の病気、貧血などに伴うことがあり、特に強い頭痛がおこる、気が遠くなる、物が二重に見える、手足に力が入らないなどの症状が現れた場合にはまず頭の病気を疑う必要があります。代表的な耳の病気としては、メニエール病、良性発作性頭位めまい症などがあげられます。メニエール病のめまいは突然、10分以上続き、通常は難聴・耳鳴などの聴覚症状が関連します。内耳の内リンパ液が過剰にたまる内リンパ水腫が原因であり、ストレス、過労、睡眠不足がめまい発作を引き起こします。ストレス対策である有酸素運動は有効です。治療では、まず抗めまい薬、経口利尿薬を服用、無効であれば手術などが一般的に考慮されます。富山大学では中耳加圧治療という新しい治療を行っており、薬物無効例に対してもめまい制御に有効であることが分かっています。メニエール病をはじめとして、めまいを反復してお困りの方は、一度、耳鼻咽喉科外来に受診をしていただければ幸いです。

アレルギー性鼻炎について

耳鼻咽喉科 舘野 宏彦

  アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりを3主徴とする鼻粘膜のアレルギー疾患です。国民の約4割が罹患しているといわれている極めて身近な疾患であり、非常にQOL(生活の質)が低下する疾患です。季節と関係なく年中続く通年性アレルギー性鼻炎と花粉の飛散時期にのみ症状が出る季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に大別されます。アレルギー性鼻炎の治療は、一般的な薬物治療、最新の舌下免疫療法、そして、手術治療があります。
  舌下免疫療法はアレルギー性鼻炎の治療として唯一根治が期待できる治療です。現在治療可能なアレルゲンはスギ花粉とダニです。自宅で服用できるのがメリットです。
  手術療法は薬物治療の効果が少ないときに用いられる治療手段です。鼻を拡げて鼻詰まりを改善する手術(下鼻甲介手術)と鼻水やくしゃみを引き起こす神経を切断して症状を改善する手術(後鼻神経切断術)があります。難治性のアレルギー性鼻炎に対する最終的な治療方法です。
  アレルギー性鼻炎でお困りの方は当科受診をお待ちしております。
 過去の公開講座についてはこちら