先端めまいセンター

スタッフ

センター長: 耳鼻咽喉科 將積日出夫 (日本めまい平衡医学会めまい相談医)
副センター長: 耳鼻咽喉科 藤坂実千郎 (       同上       )
耳鼻咽喉科 高倉大匡 (       同上       )
耳鼻咽喉科 浅井正嗣 (       同上       )

診察日

担当医 將積日出夫、浅井正嗣、藤坂実千郎、高倉大匡
診療日 初診は、月・火・水・金の午前中
受診方法 地域連携予約、紹介状持参が必要です。

めまい疾患とは

めまいは日常診療において最も頻度の高い症状の1つです。めまいは回転性めまいと非回転性めまいに分けられます。回転性めまいは、文字通り、自分または周囲が回る回転感覚であり、非回転性めまいは身体が左右または前後に揺れる動揺感、ふわふわと浮いている様な浮遊感、ふらついたりよろめいたりする不安定感、目の前が真っ暗になる眼前暗黒感がふくまれています。めまいをおこす代表的な病気には、メニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、めまいを伴う突発性難聴などの末梢性めまいと脳血管障害(脳出血、脳梗塞)、脳腫瘍、変性脱髄性疾患(脊髄小脳変性症)などの中枢性めまい、起立性調節障害、頸性めまい、心因性めまいなどの非前庭性めまいがあります。このようにめまいの原因疾患は、多岐にわたっています。

めまい検査について

めまいを客観的に評価する検査は平衡機能検査と呼ばれています。その検査には、一般の診療所あるいは外来診察室で行うことができる簡易平衡機能検査と大学病院や特殊設備をもつ専門病院で必要に応じて行う精密平衡機能検査があります。このうち精密平衡機能検査では、特殊な器機を用いて検査を行うことで、内耳(三半規管と耳石器)、前庭神経、小脳、脳幹の機能を調べることができます。めまいの原因疾患には、末梢性めまい疾患、中枢性めまい疾患、非前庭性めまい疾患があります。これらの疾患では、精密平衡機能検査による検査結果が異なります。
めまいの原因を調べる検査としてCTやMRIなどの画像検査が広く行われています。しかしながら、これらの検査で異常を示さず、めまいの原因が分からない場合も少なからず存在します。そのような場合でも、精密平衡機能検査はめまいの病変がどこにあり、その重症度がどの程度であるかということを客観的に定量評価することができるため有用です。

富山大学附属病院 めまい診療センターの特色

日本めまい平衡医学会のめまい相談医の資格を持つ医師が、めまい平衡障害に対する専門的知識を生かした診療を行っています。
頭部MRIやCTなどの画像診断で原因不明なめまい平衡障害の病巣部位を精密平衡機能検査などの最先端のめまい診療技術を駆使して診断します。
薬物治療が無効でめまい発作を反復するメニエール病や遅発性内リンパ水腫に対して、メニエール病診療ガイドラインにある段階的治療選択を行っています。
当センターでは、富山大学で開発し、保険収載された非侵襲中耳加圧装置による中耳加圧治療を行っています。
中耳加圧治療が無効な場合には、次の段階の治療である内リンパ嚢開放術、選択的前庭機能破壊術を考慮しています。
3ヶ月以上持続する慢性めまいに対してめまいのリハビリテーションを行っています。
また、大学病院の特色を生かして脳神経内科、脳神経外科、放射線科などと緊密に連携して高度医療を行っています。
合併症の精査のための入院も積極的に行っています。


主な対象疾患:めまい平衡障害を主訴とする下記の疾患

  • めまい症、眩暈症
  • メニエール病、遅発性内リンパ水腫、内耳梅毒、レルモワイエ症候群
  • 外リンパ瘻、突発性難聴、良性発作性頭位めまい症、慢性中耳炎(真珠腫性中耳炎)、前庭神経炎、聴神経腫瘍、心因性めまい、先天性眼振、低髄圧症候群、前庭性偏頭痛、上半規管列隙症候群
  • 慢性めまい(3ヶ月以上持続するめまい平衡障害)

めまい診療センターでの総合的平衡機能検査

富山大学附属病院のめまい医療センターでは、まず、簡易平衡機能検査に次いで、表1のような総合的平衡機能検査を実施して、末梢から中枢まで幅広い範囲をカバーする精密平衡機能検査をルーチンに行っています。検査器機の種類は国内有数であり、内耳、前庭神経、小脳、脳幹の機能検査の結果はそれぞれコンピュータを用いてリアルタイムに解析しています。解析結果をもとに日本めまい平衡医学会めまい相談医がめまいの病変やその重症度の診断を行っています。


表1.総合的平衡機能検査

  1. 直立体平衡検査:両脚直立(Romberg検査、 Mann検査)、重心動揺検査
  2. 動的体平衡検査:足踏み検査
  3. 自発性異常眼球運動(電気眼振計、フレンツェル眼鏡)
    自発眼振、注視眼振、頭位眼振、頭位変換眼振、頭振り眼振、異常眼球運動
  4. 前庭性刺激検査
    温度刺激検査(冷温交互試験、エアーカロリック検査)
    振子様回転検査、Video Head Impulse Test(vHIT)
    前庭誘発筋電位検査(胸鎖乳突筋、外眼筋)
  5. 視刺激検査
    視運動性眼振検査、視標追跡検査、急速眼運動検査
  6. 前庭視覚系の相互作用検査
    前庭性眼振の固視抑制、視運動性前庭動眼反射
  7. 負荷平衡機能検査
    頸部捻転、頸部圧迫、電気性身体動揺検査、瘻孔症状

メニエール病難治例の診断と治療

メニエール病では、その病態である内リンパ水腫の診断を多角的に行っています。蝸電図、グリセロール検査、フロセミド検査はそれぞれ内リンパ水腫推定検査として知られていますが、個々の検査の陽性率は6割程度と高くありません。当センターでは、内耳の蝸牛、半規管に加えて耳石器の内リンパ水腫推定検査を組み合わせることでメニエール病の9割以上で内リンパ水腫の存在を診断しています。さらに、内耳造影MRIによる内リンパ水腫の画像診断も加えて、生理検査と画像検査の両面から診断を行い、治療方針の決定に役立てています。



内耳造影MRIによる内リンパ水腫像


メニエール病の治療では、富山大学耳鼻咽喉科は治療法である中耳加圧治療を国内で最も早く開始し、治療成績をもとに開発した中耳加圧装置を用いた中耳加圧治療は現在、保険収載されています。メニエール病診療ガイドライン2011年版で中耳加圧治療は、薬物治療などの保存的な治療で効果のない難治例に対して、内リンパ嚢開放術、前庭神経切断術、アミノ配糖体抗生物質鼓室内注入術を行う前に考慮すべき低侵襲な治療法として紹介されています。この治療のため、当センターでは県内外からメニエール病難治例の受診があります。



中耳加圧装置