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国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針

国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針

1.本指針の目的

国立大学附属病院には、質の高い医療の提供のみならず、医療従事者の育成及び新たな診断・治療方法の確立による臨床医学の発展の推進が求められている。

これらの実践には、患者側の視点に立った安全性の高い医療の提供が不可欠である。
そのため、各国立大学附属病院においては、医療安全管理体制の確立のために様々な取り組みを進め、また、国立大学附属病院長会議では、平成12 年度から、「医療事故防止のための相互チェック(平成19 年度から、『医療安全・質向上のための相互チェック』に名称変更)」を実施するとともに、平成14 年度には医療安全管理協議会を設立し、医療安全に関する情報共有をはかる等、様々な方面から医療安全を推進してきた。医療上の事故等が発生した場合には、社会に対してその事実や改善策を公表することにより、医療安全管理を徹底するだけでなく、他の医療機関での再発防止に資するとともに、医療の透明性を高め、国民からの信頼性の向上に資することが重要である。
以上のような責務を果たすことを目的として、国立大学附属病院長会議では、平成17 年3 月3 日に「国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針」(以下「公表指針」という。)を策定し、医療上の事故等が発生した場合の公表に関して一定の基準を示した。
各国立大学附属病院においては、この指針をもとに公表基準を定め、記者会見、自院のホームページ、国立大学病院医療上の事故等包括公表システム等を用いた公表を行ってきたところである。

一方、平成16 年10 月1 日からは、医療法施行規則により、特定機能病院等を対象として、医療上の事故等については公益財団法人日本医療機能評価機構(以下「日本医療機能評価機構」という。)への報告が義務付けられ、各国立大学附属病院から、これまでに1,899 件(平成16 年10 月〜平成22 年10 月)の報告が行われている。ここに報告された事例は、同機構により集計・分析され、件数、概要、再発防止策等が、医療機関のみならず、国民や行政機関など、広く社会に対して公表されている。

このように、日本医療機能評価機構を通じた医療上の事故等に関する概要、再発防止策その他の医療安全情報に関する社会的な公表システムが定着し、機能するようになっている点に鑑み、今般、これまでの公表指針に対する見直しを行った(改訂後の指針を、以下「本指針」という。)。

本指針は、改訂前の公表指針と同様、各国立大学附属病院において、医療上の事故等につき、医療の透明性を高め、国民からの信頼向上をはかるとともに、他医療機関における医療安全管理の徹底及び再発防止に資することを目的として、公表を行うための一定の基準を示すものである。

なお、本指針の内容は、今後の社会情勢の変化等を踏まえ、見直していく必要がある。


2.本指針における用語

本指針で用いられている用語は、次のとおりである。


(1)医療上の事故等
疾病そのものではなく、医療を通じて発生した患者の有害な事象を言い、医療行為や管理上の過失の有無を問わない。合併症、医薬品による副作用や医療機器・材料による不具合も含む。


(2)ヒヤリ・ハット
患者に被害が発生することはなかったが、日常診療の現場で、“ヒヤリ”としたり、“ハッ”とした出来事を言う。

具体的には、ある医療行為が、①患者には実施されなかったが、仮に実施されたとすれば、何らかの被害が予測される場合、②患者には実施されたが、結果的に被害がなく、また、その後の観察も不要であった場合等を指す。


(3)合併症
医療行為に際して二次的に発生し、患者に影響を及ぼす事象を言う。
なお、合併症には予期できるものと予期できないものとがある。


3.公表する医療上の事故等の範囲及び方法

公表する医療上の事故等の範囲及び方法については、下記の要領によるものとする(以下の区分は、医療法施行規則に定められた登録分析機関(日本医療機能評価機構)に対する報告が求められる事故等の範囲につき、事故報告範囲検討会が取りまとめた分類に準拠したものである)。(別表)


(1)「明らかに誤った医療行為又は管理」に起因して、患者が死亡し、若しくは患者に障害が残った事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例。

①患者死亡、又は重篤で恒久的な障害が残存したもの。
医療上の事故等の発生後又は覚知後、可及的速やかに公表する。
さらに、院内事故調査委員会等で事故原因等を調査した後、その概要、原因及び改善策を自院のホームページに掲載する等により公表する。


②一過性に、濃厚な処置又は治療を要したもの。
病院内の医療安全に関する委員会等で事故原因等を調査した後、その概要、原因及び改善策を自院のホームページに掲載する等により公表する。


(2)「明らかに誤った医療行為又は管理」は認められないが、医療行為又は管理上の問題に起因して、患者が死亡し、若しくは患者に障害が残った事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例(医療行為又は管理上の問題に起因すると疑われるものを含み、当該事例の発生を予期しなかったものに限る)。
医療上の事故等に関する情報の登録分析機関である日本医療機能評価機構に報告をし、同機構を通じて公表する。


(3)上記(1)、(2)のほか、医療に係る事故の発生の予防及び再発の防止に資すると考えられる警鐘的な事例(ヒヤリ・ハット事例に該当する事例も含まれる)。
医療上の事故等に関する情報の登録分析機関である日本医療機能評価機構に報告をし、同機構を通じて公表する。


4.公表を判断するプロセス

インシデントレポート等により報告された医療上の事故等について、病院内の医療安全に関する委員会等において速やかに検討を行い、院内事故調査委員会等の設置の必要性、検討事例が公表事例に該当するか否かの判断、公表の時期、公表の内容、公表の方法について、医療安全に関する委員会等での意見を踏まえ、病院長が決定する。


5. 公表に当たっての留意点

公表に当たっては、次の事項に十分留意をする。
(1)患者・家族等への配慮
公表に際しては、「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」(平成15 年5 月30 日法律第59 号)、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(平成16 年12月24 日厚生労働省)等に基づき、患者・家族等のプライバシーに十分な配慮をし、その内容から患者・家族等が特定、識別されないように個人情報を保護するとともに、医療従事者の個人情報の取り扱いにも十分配慮しなければならない。
公表に当たっては、患者・家族等の心情や社会的状況に十分配慮するものとする。

(2)患者・家族等からの同意
医療上の事故等の公表に当たっては、患者・家族等の意思を踏まえ匿名化するとともに、第3 項(1)の①、②の自院のホームページに掲載する等により公表する場合は、下記の要領により取り扱うものとする。

①原則として、患者本人及び家族等から同意を得る。

②患者が死亡した場合には、原則として、遺族から同意を得る。

③患者が意識不明の場合や患者に判断能力がない場合には、原則として家族等から同意を得る。
この場合においても、患者の意識の回復その他患者の判断能力が回復したときは、①の原則により、速やかに、本人への説明を行い、同意を得るよう努める。

④同意を得るに当たっては、公表することのみならず、その内容についても十分説明を行わなければならない。

⑤同意の有無、説明の内容は、診療記録への記載等により記録する。


6.その他

各国立大学附属病院は、その社会的役割を明確にするため、医療上の事故等のみならず、高度医療への取り組みや実例、また医療の質・安全に関わる取り組み事例等についても、積極的に公表していく必要がある。

公表基準表(PDFファイル サイズ203KB)

PDFファイル


◎具体的なインシデント報告は、医療安全管理室のホームページに掲載しております。