発作性心房頻拍(PAT:paroxymal atrial tachycardia)と
不顕伝導(concealed conduction)によるRR間隔延長


U誘導の拡大図


胸部誘導

上図胸部誘導の赤枠線の拡大図


解説:
四肢誘導の1、4、6拍目のQRSの前のP波は洞結節由来のP波で洞調律ですが、それぞれのP端に続いて出現しているP波はPP間隔が290〜340msec(207〜176bpm)と短く洞調律時のP波と微妙に違っており(特にV1誘導で違いが明らかである)発作性心房頻拍(PAT)と診断されます。ただし、この異所性P波は四肢誘導ではU、V、aVF及びT、aVLで陽性であり洞調律のP波と類似していることから、PATの起源は洞結節に比較的近い高位右房と考えられます。
次に、四肢誘導の2、5、7拍目のQRS(これらはその直前の異所性P波、PATの第一拍のP波が伝導したもの)の後のRR間隔が延長している既序は、房室結節内の不顕伝導で証明されます。
不顕伝導とは、連結期の短い興奮が房室結節進入するも心室までは伝導せずに途中でブロックされるという現象を繰り返すものです。
心房粗動から心房細動へ移行した際にRR間隔が延長する現象はこの不顕伝導によるものです。(心房粗動に比べ心房細動では心房の興奮頻度が多いため房室結節での不顕伝導の程度が強くなり心室へ伝導される頻度が減少する。)
富山医科薬科大学第二内科 水牧医師から上記コメントをいただきました。

発作性心房性頻拍PAT(paroxymal atrial tachycardia):
毎分160〜220の規則正しい心房調律が特徴
1:1房室伝導が多いが稀に色々な伝導、普通2:1の房室ブロックを伴う場合もある。
病因、発生頻度
PATは心疾患の臨床的兆候のない正常人に最も多く、感情の激動に伴って起こることがある。
リウマチ性僧帽弁疾患、肺塞栓、心臓外科的処置、甲状腺中毒症、冠動脈疾患が原因で起こることは少ない。
通常WPW症候群に伴って起こる不整脈
房室ブロックを伴う心房性頻拍は普通ジギタリス中毒で認められる。
メカニズム
1.房室結節リエントリー型頻拍(AV nodal reentry tachycardia)
2.副伝導路を介するリエントリー(reentry via accessory pathway)
3.自動性心房性頻拍(automatic atrial tachycardia)
心電図波形
発作性心房性頻拍は心房性期外収縮は連続的に発生した形に似ている。
各P'波はそれに続く心室群を持つ。
QRS、T波は通常正常(長期間続いた頻拍では虚血の結果として左室心外膜側誘導でST低下とT波の逆転とが起こることがある。

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