APTT:活性化部分トロンボプラスチンテスト
測定原理
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は、PTT測定試薬にカオリン、セライト、エラジン酸などを添加して接触因子を十分に活性化させ、安定かつ精度の高い方法に改良した測定法である。
臨床的意義
【延長】
・フィブリノゲン、プロトロンビン、第V、第VIII、第IX、第X、第XI、第XII因子のどれかが正常の20〜25%以下またはこれらの因子の先天的欠損症。
・循環抗凝血素の発生やプラスミンの増加時
・血友病A、血友病B、von Willebrand病、第XI、第XII因子欠損症、DIC、ヘパリン療法、抗凝固剤の使用
【短縮】
・採血の失敗(組織液混入)
・採血後1時間以上経過(APTTを除く)
・DIC(時期による。通常は延長)
・妊娠
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<注意>
・ヘパリン加血漿を用いての測定は不適当である
・血小板第V因子・第VII因子・第XIII因子の欠乏では正常の値が得られる。
・血友病でも軽症の場合、測定試薬によっては正常となることがある。
・市販試薬は製品により凝固時間が若干異なるので注意する。
・施設間差が大である。
・各メーカーによりヘパリン感受性が異なるのでヘパリン療法を行う場合には注意する。
検討項目
二濃度の患者プール血漿を用い三社の再現性を比較した。
二台の分析機と三社の試薬における組み合わせについて相関比較をした。
測定分析機:CA-5000(シスメックス社製),STA(ベーリング社製)
測定試薬:O社製(O)、B社製(B)、D社製(D)
抗凝固療法の主薬剤であるヘパリン量の影響について検討した。
第[、\、]U因子について三社の感受性試験を比較した。
LA陽性コントロールを用い三社の感受性比較をした。
| --- | LOW | HIGH | ||||
| 項目名 | APTT-O | APTT-B | APTT-D | APTT-O | APTT-B | APTT-D |
| N | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 |
| MEAN | 35.7 | 35.3 | 33.0 | 67.9 | 61.2 | 54.8 |
| SD | 0.13 | 0.58 | 0.22 | 0.82 | 0.36 | 0.25 |
| CV(%) | 0.4 | 1.6 | 0.7 | 1.2 | 0.6 | 0.5 |
| MAX | 35.8 | 36.1 | 33.6 | 69.8 | 61.8 | 55.3 |
| MIN | 35.4 | 34.3 | 32.8 | 67.1 | 60.4 | 54.4 |
| RANGE | 0.4 | 1.8 | 0.8 | 2.7 | 1.4 | 0.9 |
APTT-CA:分析機CA−5000(D社製試薬使用)
APTT-O :分析機STA(O社製試薬使用)
APTT-B :分析機STA(B社製試薬使用)
APTT-D :分析機STA(D社製試薬使用)
| X/Y | STA(O) | STA(B) | STA(D) | 相関分析 |
| CA(D) | 0.8349 0.78 10.01 |
0.8718 |
0.9315 |
相関係数 |
| STA(O) | --- | 0.8301 |
0.7939 |
相関係数 |
| STA(B) | --- | --- | 0.8005 |
相関係数 |
*** 相関図 ***
CA:CA5000(シスメックス社製),STA:STA(ベーリンガー社製)
D:デード社製試薬、O:オルガノン社製、B:ベーリンガー社製

結果:全体的に相関性は良い結果とは言えず、相関関係により従来のデータの互換性を維持できるとは思われなかった。理由は各試薬メーカーにより抗凝固療法薬に対する感受性が異なるためと考えられる。今回解離していると思われた検体の投薬情報を調べると抗血小板薬、ヘパリン、フサン、FOY、その他さまざまな治療薬が投与されていた。しかし、抗凝固療法がなされていない検体もあり確定できなかった。
APTTは抗凝固療法のモニタリングとして検査される場合もあるため代表的なヘパリンに対する感受性比較を三社について行ってみた。
APTT-O:O社製試薬(分析機:STA)
APTT-B:B社製(分析機:STA)
APTT-D:D社製(分析機:STA)
| 添加濃度 | APTT-O | APTT-B | APTT-D |
| 0.00 | 35.8 | 36.3 | 30.0 |
| 0.05 | 38.4 | 38.1 | 30.6 |
| 0.10 | 45.3 | 42.1 | 32.3 |
| 0.15 | 53.5 | 48.4 | 33.9 |
| 0.20 | 64.6 | 54.7 | 36.2 |
| 0.25 | 77.4 | 61.8 | 38.5 |
| 0.30 | 92.4 | 69.9 | 41.4 |
| 0.35 | 109.0 | 79.0 | 45.6 |
| 0.40 | --- | 87.0 | 48.9 |
| 0.45 | --- | --- | 52.8 |
| 0.50 | --- | --- | 58.0 |

結果:三社とも感受性が異なり試薬選択の判断に問題を残した。使用する試薬で臨床医がヘパリンにより行う抗凝固療法が異なるからである。通常はヘパリン投与前のAPTT時間の1.5倍〜2.5倍の凝固時間を目安にヘパリン投与を中止するかの決定を行う。必ずしもAPTT時間だけではなく、出血時間や患者の状態を観察しながら投与量を決定していくのだが、基本的にはAPTT時間である程度判断するものと思われ選択に対して臨床医と充分討議し、決定する必要がある。
内因系凝固因子に対する感受性も各社異なるため第[、\、]U因子について比較を行った。
| 第[因子 | |||
| 理論値(%) | APTT-O | APTT-B | APTT-D |
| 100 | 33.25 | 32.25 | 31.05 |
| 50 | 33.55 | 32.05 | 33.70 |
| 20 | 40.10 | 38.50 | 39.95 |
| 10 | 46.35 | 43.05 | 45.60 |
| 5 | 52.05 | 48.05 | 50.35 |
| 3 | 55.85 | 57.15 | 51.40 |
| 1 | 69.95 | 61.05 | 63.85 |

結果:三社による差はなかった。
| 第\因子 | |||
| 理論値(%) | APTT-O | APTT-B | APTT-D |
| 100 | 33.40 | 33.05 | 31.10 |
| 50 | 39.25 | 38.30 | 35.15 |
| 20 | 49.15 | 46.70 | 43.20 |
| 10 | 55.10 | 52.35 | 47.75 |
| 5 | 61.50 | 57.35 | 52.95 |
| 3 | 67.80 | 63.70 | 57.60 |
| 1 | 81.10 | 73.65 | 67.80 |

結果:ややオルガノン社が感受性が高いものと判断した。
| 第]U因子 | |||
| 理論値(%) | APTT-O | APTT-B | APTT-D |
| 100 | 33.40 | 33.05 | 31.10 |
| 50 | 35.70 | 34.25 | 33.25 |
| 20 | 40.50 | 37.65 | 39.65 |
| 10 | 44.10 | 39.85 | 42.50 |
| 5 | 48.85 | 43.50 | 51.80 |
| 3 | 53.70 | 45.85 | 66.70 |
| 1 | 74.10 | 62.25 | 90.50 |

結果:デード社が感受性が高いと判断した。
総合的にはオルガノン社、デード社、ベーリンガー社の順に感受性が高いと判断した。
近年、産婦人科領域において抗リン脂質症候群に対する検査(LA)の簡便法(スクリーニング)としてAPTT検査の需要がでてきた。LAに対する感受性についても各社異なるため比較検討した。
LA陽性コントロール(G.KK社)と正常Pool血漿をそれぞれ 10/0, 9/1, 8/2, 7/3,6/4, 5/5, 2/8,0/10 に混合した。
| 混合比 | APTT-O | APTT-B | APTT-D |
| 10/0 | 68.7 | 52.0 | 45.9 |
| 8/2 | 65.3 | 47.1 | 43.2 |
| 5/5 | 57.1 | 41.9 | 36.7 |
| 2/8 | 47.3 | 42.4 | 33.7 |
| 0/10 | 33.2 | 32.0 | 30.5 |

結果:陽性濃度(10/0)と陰性濃度(0/10)の点を直線で結び各濃度の点が直線より上方に存在する点が多数の場合感受性が高いと判断できる。
O社製試薬が他社製より有意に高いものと判断した。
APTT試薬の選定には充分な注意を払う要性があることを痛感させられた。一つは抗凝固療法剤に対する感受性が異なることである。DICに対する代表的な治療法であるヘパリン療法に対する検査支援がAPTTでどこまで可能なのか疑問である。しかし現在ヘパリン療法のモニタリングにAPTT検査が主流であるためその試薬選択には充分臨床医と打ち合わせて決定していかなければならない。また変更した理由の報告とその後の患者状態観察も合わせて留意していただくようお願いする必要がある。
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