亜型(バリアント)とは?

 例えばA型の亜型の場合、赤血球上にA型抗原が存在するものの、その量がとても少なかったり、普通のA型抗原とは少し違った形をしているものを総称して亜型といいます。亜型の場合、通常の血液型検査でははっきりとした結果が出なかったり、オモテ検査(赤血球にある抗原を見る検査)とウラ検査(血漿中の抗体を見る検査)の結果が一致しないことがあります。

A1 A2 A3 Ax Am
抗原量 81万〜117万 24万〜37万 7000〜10万 1400〜1万 200〜1900
抗A1レクチン:   3+ 0 0 0 0
抗Hレクチン :   w+ 2+ 3+ 4+ 4+
  A1血球との 反応: 0 0/+ 0/+ 2+ 0
  唾液中の型物質:   A〜H A〜H A〜・H A A〜H
赤血球の輸血:  A型 A1血球との反応性が、37℃加温後も(+)の場合はO型、加温後(-)の場合は、A型

【亜型の検査】
  血球側の検査 
1、 抗原性が弱い場合、亜型とそれ以外を鑑別する検査
(ア) 血球を洗浄し再検
(イ) 温度による凝集の変化を見る(5℃5分または37℃10分など)
(ウ) 直接抗グロブリン試験
2、 抗原量の検査
(ア) 抗A、抗Bに対する被凝集価の測定
(イ) 抗A、抗Bの吸収試験
(ウ) フローサイトメトリー
3、 レクチンとの反応
(ア) 抗A1レクチン(Dolichos biflorusなど):A1型と亜型を区別する。
(イ) 抗Hレクチン(Ulex europeaus、ウナギの血清など):亜型の度合いを見る。
4、 抗A、抗Bの吸着解離試験:抗原があることの証明。
5、 O型血清(抗A,B血清)との反応:亜型の種類を見る。

 血清側の検査 
1、 亜型とそれ以外を鑑別する検査
(ア) 不規則抗体検査
(イ) 免疫グロブリンの量
2、 AまたはB型物質の測定:血液型物質の存在を証明する。
3、 AまたはB型転換酵素の測定:血液型転換酵素の存在を証明する。

 その他の検査 
1、 唾液の検査:分泌型の人の血液型物質の存在を証明する。
2、 爪、髪の毛など組織の血液型検査:患者本来の血液型を見る。
3、 DNAによる遺伝子解析
(ア) 塩基配列から、血液型を決定する。
(イ) 制限酵素を用いて、血液型のタイプを見る。
Kpn1は、O型を切断、BstEIIはAまたはBを切断 など
(ウ) その他にもいろいろあります。

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