新鮮凍結血漿 ( fresh frozen plasma:FFP )

主な内容  ・成分       ・色調         ・疑問に思ったこと
      ・製造方法     ・適応、輸血効果    ・トラブル
      ・保存       ・診療報酬       ・適正使用
      ・取り扱い     ・副作用

成分   ウ)血漿成分

水分    約90−91% 
蛋白質   約7−8%・・・資料1
その他   約1−2%
(ブドウ糖、無機物質、酵素、ビタミン、ホルモン、脂質他)

      エ)FFPの組成=血漿成分+血液保存液(ACD−A液)

          ※FFP中の含有成分・・・資料2
血液保存液が含まれていることにより含有成分は正常血漿に比べて約10−15%薄まっている。
             <例外>Na,Gluは上昇
                 Na…保存液中のクエン酸Na等
                 Glu…保存液中のブドウ糖

           FFP=低Alb+高Na+ウイルス含有血漿

製造方法  ウ)全血製剤からの製造
        全て機械で分離、調整、採血後6時間以内
        @.遠心する(バッグ4個をまとめて遠心)
        A.Aから血漿を全て、Cへ分離する
        B.AからバフィーコートをBへ分離する
        C.DのMAP液をAへ移す
        D.Cの血漿量を調整する 多い場合は、Dへ移す
        E.−40℃で凍結

全血 200ml→80ml(FFP-1)
   400ml→160ml(FFP-2)
      エ)成分採血からの製造
         成分採血装置で採取した新鮮な血漿を−40℃以下で急速凍結したもの。
450ml(FFP-5)

保存

ウ)有効期限…1年間
エ)保存温度…−20℃以下で凍結保存
         ※血液センター:−40℃
オ)保存による凝固因子活性の変動…資料3

・適正な温度で保存しても1年後には第ヲ因子活性は約75%まで低下することから、家庭用冷凍庫等で−20℃より高い温 度で保存された場合にはより早い失活が予想される。
・室温放置等でシャーベット状態となった場合、再凍結して使用可能との文献がある。(資料4)

取り扱い

ウ)融解方法
   @.ビニール袋にいれる。(すでに入っている場合もある)
   A.30〜37℃の恒温槽で融解する。
   B.完全に融解したら取り出して、3時間以内に使用する。

<注意点>
・流水に直接バッグをあててはいけない。→融解にムラガできてしまうため。
   
・一度融解したものは再凍結して使用してはいけない。融解後すぐに使用しないときは、冷蔵庫(4〜6℃)に入れて保存し、3時間以内に使用する。→融解後の第ヲ因子活性が急速に低下するため。
・絶対に避けること。
   直接、熱湯をバッグにかける。→蛋白変性する。
   電子レンジで融かす。→なかなか融けず保存バッグが溶ける。

エ)融解温度がFFPに与える影響…資料5

低・・・クリオピレシピテートの析出→白色ゼラチン様の沈殿物、多量の凝固因 子を含む、輸血セットの目詰まりの原因
高・・・37℃↑・・・凝固因子活性の低下を認める。急激に低下する。
   50℃↑・・・蛋白が変性して固まる。


オ)FFPの破損の原因


色調

     黄色or黄褐色
       白濁は献血者の食事の影響によるもの。品質には問題なし。

適応・輸血効果

ウ)使用指針・・・別紙1

エ)投与量の算定
Q,生理的な止血効果を期待するための凝固因子の最小血中活性値は正
常値の20〜30%である。よって、凝固因子の血中レベルを20〜30%
上昇させるために必要な量は?

          循環血漿量:40ml/kg

        ※投与の際には、次のことを考慮して量や間隔を決定する。
         ・患者の体重やHt値(貧血時)
         ・残存している凝固因子のレベル
         ・補充すべき凝固因子の生体内への回収率や半減期

      オ)不適正な使用
        @.循環血漿量減少の改善と補充
        A.蛋白源としての栄養補給
        B.創傷治癒の促進
        C.重症感染症の治療
        D.播種性血管内凝固(DIC)を伴わない熱傷の治療
        E.人工心肺使用時の出血予防
        F.非代償性肝硬変の出血予防


診療報酬

ウ)血漿製剤の輸血に伴う注射料
       点滴注射   6歳未満の乳幼児に対し
              ◇1日100ml未満:68点(外来のみ)
              ◇1日100ml以上:116点 

              6歳以上の者に対し
              ◇1日500ml未満:47点(外来のみ)
              ◇1日500ml以上:95点

      中心静脈注射 1日につき140点

・血漿成分製剤の注射を行う場合であって、1回目の注射に当たって、患者に対して注射の必要性、危険性等について、文章による説明を行った場合は、当該注射を行った日に限り、50点を加算する。
・点滴注射及び中心静脈注射の回路にかかる費用は所定点数に含まれる。

エ)平成12年改定薬価   
          FFP-1   5,327円
          FFP-2 10,654円
          FFP-5 21,436円

  
<例題>PT25%以下、APTT100秒以上の患者に、1日2単位で3日間輸血した場合の注射料は?  

副作用

非溶血性輸血副作用
       1.蕁麻疹等
       2.アナフィラキシー(様)ショック

<副作用の原因>
1.抗血漿タンパク質抗体

抗IgA抗体  抗C4抗体  抗C9抗体
抗トランスフェリン抗体  抗ハプトグロビン抗体
抗α1-アッシドグリコプロテイン抗体
抗α2-HS-グリコプロテイン抗体
抗セルロプラスミン抗体  抗フィブリノーゲン抗体
抗α2-マクログロブリン抗体
抗プロテインC抗体  抗プロテインS抗体  
抗プラスミノーゲン抗体  抗アンチトロンビン抗体
抗β2-グリコプロテイン1抗体

2.血漿タンパク質欠損

3.抗血小板抗体
   抗HPA抗体  抗HLA抗体

疑問に思ったこと

Q1.放射線照射の必要が無い理由

Q2.交差適合試験を省略する理由

Q3.白血球除去フィルターを使用する必要はあるのか?

Q4.バッグに細菌が混入することは考えられないか?
  細菌感染による副作用の報告はどれくらいあるのか?

実際に起こったFFPに関するトラブル

1. 時間外に、ドクターがFFPを照射した。
2. 自己血を融解したら、中身が全部流れた。
3. FFPを冷凍庫から取り出したさい、誤って落とし、破損した。
4. 血漿交換するさい、患者から輸血の説明を受けていないと指摘された。
5. 赤血球M・A・PとFFPを同じバックに入れて持ち出した。
6. 通常の輸血フィルターが無くなったため、白血球除去フィルターを用いて輸血した。 
7. FFP保存用冷凍庫のコンデンサーが老朽化により温度が上昇し、一時的にFFPがシャーベット状になった。
8. PT 25%以下、APTT 100秒以上の患者に、毎日1単位ずつ4日間輸血し続けた。
9. 5単位の成分FFPを半日かけて輸血した。

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